名越啓介 写真展『ON THE LINE』
[会期]
2022年11月19日(土) – 12月5日(月)
13:00 – 18:00 ※火・水曜閉廊
*OPENING RECEPTION:11月19日(土)18:00 – 21:00
[会場]
CENTER/SANUKI(香川県高松市常磐町1-6-13 1F)
高松市常磐街の路地裏に位置するスペース、CENTER/SANUKIにおいて、写真家・名越啓介の個展『ON THE LINE』を11月19日(土)より開催いたします。
本展『ON THE LINE』は、名越が今年2月に約3週間、アメリカのトレインライダー(貨物列車で生活をする人々)とともに生活/移動しながら撮影した新作写真展となります。これまで名越は、世界の辺境地域やマイノリティーなコミュニティーに入りこんで、寝食をともにすることで被写体の素顔を引き出してきましたが、本展においてはいままで取り組んでこなかった、自分の心と向き合いながら撮影したランドスケープ写真が展示されます。
東京、大阪、熊本、金沢と巡回してきた本展ですが、CENTER/SANUKIにおいては特別に、名越の初の写真集となった『EXCUSE ME』(2006年)からもセレクト。フィリピン、韓国、タイ、モンゴルとアジア4カ国を巡り、路上をさまよい、撮りたいと思った被写体に「エクスキューズ・ミー」と声をかけて撮影していった本作。「初期衝動一発だった。あのときのような初期衝動に帰りたいけどもう帰れない」と名越は話します。がしかし、『ON THE LINE』についてのステートメントのなかで名越はまた、「もう過去の自分はいらない。おさらばして新しい自分を愛す時がきた。」とも書いているように、『ON THE LINE』=新たな一歩と、最初のはじまり=『EXCUSE ME』が巡り合うことで作家の現在地を浮かび上がらせる、またとない機会となります。展示初日にはオープニングレセプションを開催。作家も在廊しますので、皆さまのお越しをお待ちしております。
[ステートメント]
ON THE LINE
今までの過去を清算しなければならない
誰しもが思ったことのあること
ずっとそこにいても始まらない
もうその時が来た。
人を傷つけたことがわからなかったこと
嘘をつきつづけてきたこと
心の中にしまいこんでしまって
自分の心を見失ってしまった。
もうつつみかくす必要はない
いい人を演じる今までの
アウトサイドは脱ぎ捨てても
自分のことなど誰も知らない
気にしているのは自分だけ。
一度死んでしまった。
素直に向き合う時が来た
もう過去の自分はいらない。
おさらばして新しい自分を愛す時がきた。
もう一度自分を信じる勇気を持つこと
可能性を引き出せることがもっとできるはず。
信じることを愛する時が来た。
時代は待ってくれない
目の前を流れる風景は過去に向かって
轟音たて走りつづける。
貨物列車の中は暗くて景色もろくに見えない。
目の前が何もなくなったとしても、
心を開いて内側から滲みでてくる
自分にシャッターを押せばいい。
焦らず心の静けさをしっかり持つこと。
目の前の人を愛すること。
このレールは一本の刃物のように、
鋭く、細く、輝いている
線上の綱渡りは、人生そのものだと錯覚する。
過去に向かって走った先に、未来はきっとある。
懐かしい未来に出会うために
生きとし生けるすべてを信じよう。
すべてを愛していく。
そして、あなたが笑ってくれると信じている。
——名越啓介
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[作家プロフィール]
名越啓介
1977年奈良県生まれ。大阪芸術大学卒。19才で単身渡米し、スクワッター(不法占拠者)と共同生活をしながら撮影。その後アジア各国を巡り、2006年に写真集『EXCUSE ME』を発表。世界の辺境の地域やマイノリティーなコミュニティーに入り込んで寝食を共にしながら撮影するスタイルを続け、写真集『SMOKEY MOUNTAIN』、『CHICANO』、『BLUE FIRE』、はじめて国内を題材にした『Familia 保見団地』では『写真の会』賞受賞。2019年8月『バガボンド インド・クンブメーラ 聖者の疾走』、2021年4月には最新写真集『ALL.』をリリース。
Instagram: @keisuke_nagoshi